AU POIVRE (オゥ・ポワヴル) とは、フランス語でこしょう風味という意味です。
お菓子も料理のひとつのジャンルと思っている私にとって、こしょうは身近な存在です。
料理の最後に味を決めるのは塩とこしょう。
塩は人間の体になくてはならないもの。こしょうはそうではないけれど塩とセットで当たり前に使われるぐらい必要なもの。
お菓子もまた、ないと生きていけないというものではないかもしれません・・・。
それでも絶対必要と思ってもらえるような、こしょうのような存在になるという思いを込めて
“オゥ・ポワヴル”と名付けました。
それは、私たちが何のためにお菓子をつくっているのかという原点に通じることだと考えています。
お菓子を通してお客様のお祝いの場面や日々の語らいの場でお客様のお役に立つこと、
楽しい会話や笑顔のお手伝いができること。
それは私たちの喜びでもあります。
21才〜23才までの約2年間、ルクセンブルグに滞在してお菓子づくりを学びました。
生活するなかでお菓子づくりだけでなく様々なことを感じることができました。
例えばヨーロッパでは電線が地中埋設されているので電柱もなく街並みがすっきりしています。
また旧市街では高層建築は建てないとか、お店の看板が手作りでとてもセンスの良いものだったり、
またところによると必ず窓辺に花が飾られていたりなど、
とても景観に配慮していることが伝わってきます。
街が美しいことが観光資源になることがわかっているのか、それとも自分たちが美しい街に住みたいと考えているのか、
両方なのかわかりませんがとてもすばらしいと感じました。
また古き良きものを大事に使うこと、使い捨てにしないこと、
物を大切にする心とか環境に対する配慮とかもすごく感じることができました。
どちらかというと物質的なものよりもその空間の居心地の良さとか、そこで過ごす時間だったり、体験だったり、感じることだったり、
目に見えるものより見えにくいものを大切にしているように感じました。
お菓子に関してはキリスト教の行事と結びついているものも多く伝統と文化を感じることができました。
この初めてのヨーロッパ滞在で感じたことが自分の中で熟成されて、
現在のお店づくりまたお菓子づくりに表現されているように感じます。
- パティスリー オゥ・ポワヴル
- 代表取締役森 保 介